「演出家の仕事」

saikaku2007-12-31

図書館で何気なく借りたこの本が、コペルニクス的転回をもたらした。いろいろな問題意識。どのように本を読んでいけばいいのか、どのように人の話を聞いていけばいいのか、どのように習字の練習をしていけばいいのか、などなど。そのような問題に答を与えてくれた。自分ということに拘らないことがその核心。自己中心的ではないこと。まさしくコペルニクス的。自分には分かっていない。自分が動いていく。身軽に動いていく。安定していることを求めない。もうこれでいいと思わない。先ず、なによりも相手のことを理解していく。相手の話を充分に聞いていく。本の内容を十分に理解していく。対象をよく観察していく。そのようなことから始まる。それが出来にくいのは、多分自分の思い込みが強過ぎる。自分の信念に固執している。相手の話を聞いてしまうことが、自分への変革を求めることを怖れている。そして相手の話を聞けなくしている。自分の生き方の基本として、自分に拘らない。これを掲げる。もっと過激にいえば、自分を壊していく。そのために、相手のことを受け容れていく。自分なりの理解ということではなくて、相手に即した理解を心掛けていく。そのことを応用すれば、習字の練習しても、自分の思い込みというか慣れで字を書いていくのではなく、自分止まりでいいということではなくて、先ず観峰先生の字を真似ていく。徹底的に真似ていく。手本を写していくことをしてまでも真似ていく。完璧にその字形を受け容れていく。それを続けていく。何年先のことになるか分からないが、それを為し終えたとき、その後、それをまた壊していく。顔眞卿になるのか。そのようなことの繰り返しの中に、物事の真実性ということが顕れて来るのではないかと思う。一つのことに固執しない。自分に固執しない。ただ一つのことに真理はない。新しいこと切り替えていく。そして、そのことを土台にして、或いは仮説にして、何処までそれを展開していくことが出来るのか。その展開可能性の中に、真実性というものが顕れて来る。そんな気がする。