「先端にまで・・・」

saikaku2008-03-12

昨晩、NHKの番組「プロフェッショナル」をたまたま見てしまう。主役は、カテーテルを遣って検査や手術を行う心臓外科医のことであった。それを指先で巧みに操りながら、太腿から入れて心臓の冠動脈へと血管の中を移動させていく。少しでも操作を誤れば血管を傷つけてしまうことにもなる。その操作はカテーテルの先端にまで神経が行き渡っているかのような、神技そのものだった。今日、習字の練習をしていて、その場面を不意に思い出した。そう、習字においても大事なのは、筆、その穂先にまで神経を行き渡らせることなのではないかと気付く。穂先の動きをじっと見つめる。その視覚と連動しながら紙と接触する穂先の感覚を自分のものにしていく。自分の末端の神経がその穂先にまで延長することが、練習する意味なのではないかと思う。篆刻においても同じ。刀の先端にまで神経を伸長させていく。石材を削る刀の感覚を自分のものにしていく。何かそのことに重要な意味が秘められているような気がする。あらゆる方向へ自分の神経細胞が延長していくようなこと。SF映画に出てくるような場面を想像してしまう。或いは「ナウシカ」にあったかと。