『アースシーの風』(ル=グウィン)

saikaku2008-09-04

「子猫が獲物を苦労しながらも誇らしそうに甲板の上を引きずっていくのを見て、水夫のひとりは子猫をヒッパリと呼ぶようになった」
唯、そのようなことなのだと思う。モノの名前について、植物の名前にしても動物にしても、その形態上の一特徴や行動の一特性を捉えて、そのものを名付けていく。生き物の名前だけではなくて、土地の名前にしても同じことがいえる。唯それだけのことにしても、その名前が対象を的確に捉えているのだと思う。そして、以後、逆に、その名前に実体の方が囚われていく。物事はそのように進んでいく。