『迷子になった鳩』(エリアン・ウィルソン)

saikaku2008-09-08

「最初にここへきたのは、創造の精霊でした。創造の精霊は、自分の創造物の中に存在しています。すべてのものの名付け親でもあります。風のように速く走るブッシュマンたちはこう言っています。精霊は花になり木になり、水や鳥になり、そして人間になった、って」

イスラム哲学だけではなくて、どのような神秘主義思想には、個々の創造物は何か一つの大きなものから生まれて来たもの、という見方がある。花が存在しているというのではなくて、「存在」が「花」しているという、そのような見方がある。おそらく、そのとき、名前がその「存在」に輪郭を与えていくような作用をするのだろう。