『ゲド戦記外伝』(ル=グウィン)2

saikaku2008-09-19

「魔法は名付けに始まり、名付けに終わる」

 日曜の午後は自転車を乗り回している。特に目的地を決めないで自由に走っている。分かれ道に来たときが緊張する。ぱっぱっと両方を見て、瞬時にどちらへ往くのかを判断している。選択した方向が行き止まりでも悔やむほどのことも無い。ただ元へ戻るだけのことなのだ。最近気の付いたことがある。自動車がよく通っている幹線道路に対して、ところどころ平行している旧街道がある。お伊勢さんに通じているのだろう。その道を走るのが本当に気持ちがいい。車は通らない。対向できる幅員が無い。人もほとんど通っていない。そのような道を自由に走っていく。昔はお伊勢参りの旅人や物の往来が多くあったのだろう。多分深夜には魑魅魍魎の類も通っていたのではないかと思う。宮崎駿の映画なら、それらの亡霊の間をすいすいと走っていることになる。そのような道が走りやすいのは、自然の形状・形象も踏まえ、何か気脈というものが通じている道だからだと感じる。それに対して、直線状の自動車道路はまさしく役人の机上での産物なのだろう。もっとその程度が高いのは文字通り高速道路である。走っていて面白いのは、その自然道と机上道が絡み合うところだ。混線している、混乱している、渾沌としている、そんな雰囲気がある。そして、そのような場所は「魔のカーブ」とか呼ばれていて事故がよく起こるのだ。今更、過去へ還ることも出来ない。ただ自然道を復活させていくことはできる。・・・このように書いてきて、それが為に、そう、自転車を乗り回しているんだ、という気になってきた。