『物語の役割』(小川洋子)

saikaku2008-09-30

昨日から雨が降り続いている。台風15号の影響らしい。前の13号と同じように台湾まで行って戻って来るというコースを辿っている。そのまま西へ行ってしまえばいいものを。向こうの人は安堵しているのかもしれないが。そのコースを見ていると、確かにポテンシャルの「山」があるような気がする。気圧?偏西風?ジェット気流?ボールが「山」を登って滑り落ちて来ているような、そんなイメージを持つ。「山」があり、台風も「ボール」に準えられる。物語というのが、この非合理で過酷また自分の思いの侭にならない現実世界に別の光を当て、人間にとって得心できるものに変えていくものであるとすれば、自然科学というものも一つの物語だと思う。この不条理に見える世界を少しでも条理の通った世界、因果律の支配する世界へ創り変えていく働きを持っているのではないかと。重力というものも在るのだろうか?電磁界というものも実在しているのだろうか?でも、それを「主人公」にしていけば、自然界の構造が整って見えてくる。そのようなことなのだと思う。自然科学史、そこにも一つの壮大な物語が存在しているような気がする。