『ファイアズ(炎)』(レイモンド・カーヴァー)

saikaku2008-10-08

「自分が机に向かって短篇小説を書き始めるとき、ほとんどの場合、その話がどう進んでいくかという見通しなんて持っていないのだと(フラナリー・オコナー)」

借り出し期間が既に半ばを過ぎてしまっていたその本を、もう一度読み始めてみる。もう手に取ることはないと思っていた。でも手を伸ばせば届くところに置いてあって。今、過去を忘れて、拘りがなくなっている気がする。どんな本でも読めそうな気がしている。今まで、意味が無いとか滑稽だとか何かしら理由をつけて敬遠していた本でも、何かしらもう一度読んでみようかという気が芽生えている。これこそ、そう、目から鱗が落ちた、まさにそのことだと。自分の内に構えというものがあったのだろう。自分に合う、自分を満たしてくれる、そんな本だけを求めていたのだと思う。結果としてそんなことになっていた。これから、古・今・東・西・それぞれの本を虚心坦懐に読んでみよう。静かな気もちでしっかりと文字列を追ってみよう。そんな気持ちが生まれている。それでいい。読むということにおいて、何処へ連れて行ってくれるのか。書くことにおいて、どんな方向へ進んでいくのか。その出逢いのことも愉しみながら、新しい段階の読書へ入っていこう。