『老人力』(赤瀬川源平)

saikaku2009-09-30

前回の本にしても、なんとか最後まで読んでみようと思う。が、でも無理。面白くない。面白くないのに、屹度何かいいことが書いてあるのだろうという期待を持って読み進んでいく。が、でも無理。面白くなければ、どうにもならない。自然と放棄してしまう。若いときには、「この本は必読書なのだ」という意識があれば、その本を何とか読破したいと思っていた。内容がテンで分からなくても、まあ、字面を無意味に眺めながら、何とか最後のページまで辿り着いていた。何にも残ってはいない。でも、今はそれも無理。この無理をしているときに限って、酒を呑みたいという気持ちが擡げてくる。もうこのような無理はしないでおこう。するだけでも無駄なのだ。自分にとって面白いのか面白くないのか、それによって判断していこう。そう、このことは本だけのことでは無い。歳をとれば物忘れが酷くなる。それは、見方を換えれば、余計なもの、差し詰め必要でないものは、記憶から排除しても影響は無い。つまり、何か、頭脳の中で、知識の統合ということが為されているのではないかと思う。面白くないと感じる本、それは、今の自分のその全体性にとっては組み込む必要の無いこと、そう意味の無いもの、そのようなことなのだと思う。もう残念がることも止めていく。老人力とは、その、自分を自己まで含めて統合していこうとする、そのような方向性を働きを持っている。知識を水平方向へ拡大していくということよりも、垂直方向へ深化していくことなのだと思う。この本は、そんな勇気を与えてくれる本だ。そして、この本は、最後まで読めそうだ。