「ヒトラーとユダヤ人」(大澤武男)

saikaku2009-10-13

ユダヤ人というのは、欧米においてはどのような受け留められ方をしているのだろうか。そのことがずっとわからないままになっている。その宗教に起因するのか、独自の生活習慣や文化を持ち閉塞的な集団を形成していると見做されいる。或は、経済界、金融界や学界においても、その優秀さによって主要な地位を独占していると見做されている。ヒトラー、その意を受けた形での部下の行動によって、ユダヤ人を殲滅させていこうとすることには、今も尚ネオナチという集団が現存しているように、その国民の不満の捌け口として格好の標的にされているところがある。劣等意識の現われなのか。そして、最後までヒトラー自身がユダヤ人に対しての自分の行動の正当性を信じていたことには、想像するに、何か他の国々の権力者からも、その絶滅行動についての暗黙の指示があるということを信じていたのではないかと思う。自分の責任を何とかして逃れるために、他者にそれを転嫁していくことは普通に見られることである。何気ない言葉の中にもそのようなことを感じる。でも、その、ユダヤ人という存在にはもっと深い意味があるのだろうと思う。